今朝の朝日の記事、見出しが面白い。
持ち主不明の土地が九州より広い、そんなに沢山あるんだと!!!
いやーわかります。わかります。
うち(妻)も、使い道の全くない土地を相続する手続きをしているからです。別に登記を(名義変更)しなくても良いのであれば、お金や手間も掛かることだししたくないほど。
つまり、日本中の持ち主不明の土地、色々な理由はあるのでしょうが「相続する価値が無い土地」等の場合「相続人が多くて面倒でやらない」「相続登記する費用や手間がもったいない」「登記しなくても自分は困らない・罰則が無い」ということが問題かと思います。
うちの場合も「価値が無い土地を相続登記する費用や手間がもったいない」のでやりたくないのですが、現在手続きを進めています。。。
この話は1年前に遡ります。
80歳近くなり身辺整理を始めた義父から
「実は千葉に土地を持っているので売って欲しい」と言われました。
ずいぶん前に千葉の八街(やちまた)に土地を買ったが、そのまま放置しているとのこと。
「調べますけどちなみに固定資産税いくら払ってますか?」と聞くと「払ったことがないなあ」とのこと。つまり、その時点で価値は限りなく低い。
昭和48年に当時の金額で200万円で買っています。かなりの金額です。
よく買ったなあと思います。しかし売れるなら50万でも売りたいのだが・・・
十分に東京駅通勤圏内じゃないか
はて?八街ってどこだ?調べてみたら、意外に遠くない。
仮に8時半に東京駅に着く電車を検索すると。。。
八街 07:11発 - 東京 08:25着 乗り換え回数:1回 所要時間:1時間14分 料金:1,140円 (ICカード:1,144円) ●八街 | 7:11発 | JR総武本線(普通)[千葉行]13分 | 7:24着 ○佐倉 | 7:25発 | JR総武本線(快速)[久里浜行]17分 ↓千葉 | JR総武線快速(快速)[久里浜行]42分 | 8:25着 ■東京
比較材料として、同じ八がつく多摩の都会「八王子」で調べると・・・
八王子 07:21発 - 東京 08:29着 乗り換え回数:0回 所要時間:1時間08分 料金:800円 (ICカード:799円) ●八王子 | 7:21発 | JR中央線(快速)[東京行]1時間8分 | 8:29着 ■東京
八街:1時間14分乗車 八王子:1時間8分乗車。
乗り換え一回差はありますがそんなに大きな違いはない。これだけ見ると十分通勤圏内のようです。それなりにベッドタウンとして発展してるのかな?と思いました。
不動産の価格でそのエリアの実力がわかる。
次に調べたのが不動産の価格。
築20年くらいの中古戸建を見てみました。
ビックリです。
145㎡、約44坪の土地と築24年110㎡超の4LDK戸建住宅がついて
650万円です。
信じられない価格です。
築24年の建物の価値は低いでしょうし、ほぼ土地の値段と考えると、600万円くらいでしょうか。
乱暴に計算すると1坪当たり約13.6万円という値段です。
かたや八王子。ちょっと探した限りでは築24年の物件が見当たらなかったので、バス便の新築住宅です。3,280万円。
土地は約45坪、建物は110㎡超。新築ですので建物相当額を1,500万円と想定し土地価格をざっくり1,780万円としましょう。それで1坪あたり39万円超えです。約3倍八王子のバス便の土地のほうが高いことになります(これでも十分安いと思いますけど)。
うーんどんなところなんだろう、八街という所は。
気になって一度行ってみることにしました。
義父から預かった登記簿では「八街市」ではなく印旛郡八街町。先程例として挙げた希望が丘の近くらしい。現地の近くに行ってみました。
当然ながらGoogleMapで地番を入れても表示されないので、あきらめて佐倉の法務局に行き、住宅地図を見て調べることにしました。
でもわからない。担当の方とにらめっこして、地形と道路の形を頼りに、ここだ!という場所がわかりました。
再度GoogleMapにピンをドロップし、現地へ。
この6みたいな道路が、かつで区画整理されて分譲され、義父がその一区画を購入した辺りです。ちなみに地図右下の希望が丘というあたりは、区画整理されたとても美しい街並みでした。正直、小田急線や田園都市線にありそうな街並み。であれば土地だけで3,000万円くらいするでしょうが。
しかしこの土地の値段が前述のようなもの。。。。
そのあたりに向かうと、雲行きが怪しい。え、本当にここで合ってるの?GPS狂ってない????
え??????どうみても農道。
GoogleMapではラインが引かれている路を探し進むと。
どう見ても獣道。顔に蜘蛛の巣がかかります。
ええ??????あってるのか????本当にここか???????
森です。雑木林です。お気づきだろうか?何かブロック、石垣のようなものがあるのを。。。。ここです。
そうです、たしかにこのあたりです。
法務局の人に聞いたら「確かに40年くらい前に区画整理されて分譲された」
「しかし誰も家を建てていない」「だから住宅地図に載っていない」とのこと。
行く前は価値がなくても土地があれば、いざという時そこに居座れるし、何かに使えるかな?無いよりマシだよなと思っていましたが、現実的にあってもしょうがないです。
水道やガスも通っていない雑木林の中にある、だいたいこのあたりの20坪がもらえるといわれても、どうしようもない。。。。
仮にここに家を建てようと思ったら、この獣道のような中を重機が入れるようにして、鬱蒼と茂った木々を伐採しないといけません。まずはそこからです。
その上で仮に建てても水道やガスなどを引かなければなりません。
幸い、希望が丘の住宅地からそれほど離れてはいないので大丈夫???と思いましたが、だれがそれをお金かけてやるのか。仮に家を建てようと思っても、自分たちではどうにもならない。周りの土地の所有者を調べてアプローチして、話をまとめ上げる、ということが必要でしょう。その手間と時間を掛けることを思えば、そっと「見なかったことにする」という気持ちはわかります。
恐らく、原野商法に近いレベルのものかと。
10区画くらいはある街並みのはずです。確かに区画整理されたのでしょう。でも、買ったはいいが、どうしようもないので放置した我々の親世代。
そして相続した子世代も、これはどうしようもない・・・・
と諦めて放置している。
こんな土地持ってても仕方ないし、相続登記するだけで手数料かかるしやめておこう。
そう思った人が多いのでしょう。
税理士さんにこの話をすると
「きちんと登記して下さい!我々の子や孫世代が泣くことのないように義務です!」と言われてしまいました。
ちなみに、相続登記をお願いしている司法書士さんから評価額がきました。
昭和48年に200万円で購入した土地の現在のお値段は!!!
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5,000円 に満たないものでした。
5,000万なら万々歳ですが、マンはありません。
だから、今朝この朝日の記事を見て
「わかる、うん、わかるよ。」と思いつつ。
「子や孫の世代に迷惑かけ無いようにきちんと登記して!!」と思いました。
でも現実的に、法定相続人が何人もいたりすると面倒、というか無理!ということが多いのでしょうね。
何か新しい法律の枠組みがないと、同じようなことはどんどん増えていくことでしょう。